(2024年4月15日)
3. 民法上の権利
民法上の2つの権利、「物権」と「債権」について確認しておきましょう。
⭐️テキスト・28pの「(a)物権とは」と「(b)債権とは」も参照してください。
3-1 物権とは
- 物権とは、「人」が「物」について有している権利です。
- 民法には、数種類の物権が規定されていますが、ここでは「物権の完全形」である「所有権」を例に物権とはどのような権利であるかを確認しておきましょう。
例えば、Aがギター甲の所有権を有しているとしましょう。所有権を有していると権利者(所有権者)はどのようなことができるのかについては民法206条が規定しています(一緒に、六法を開いて民法206条の文言を確認してみましょう)。
民法206条によれば、所有権者は、法令の制限内において、所有物を自由に使用・収益・処分することができます。
- 民法206条には、誰に対してこれらのことを権利として主張できるのかが書かれていません。
- このような書き方をしている時には、権利を誰に対しても(=万人に対して)主張することができるということを意味します。

以下の(Case1)を例に、所有権がどのように機能するのかを確認してみましょう。
(Case1)
Aはギター甲の所有権を有している。2024年4月1日、Bは法的に正当な理由が何もないのにギター甲をAの元から持ち去り、これを保有している。
- 民法206条に基づき、ギター甲の所有権者であるAは法令の制限内においてギター甲を自由に使用・収益・処分する権利を有しています。
- Bがギター甲を手元に置いていると、Aはギター甲を自由に使用することができません。すなわちAはギター甲について有している所有権の内容を実現することができません。
- Aは所有権の内容実現を誰に対しても請求することができます。
- したがってAは、Bに対して「ギター甲についてAが有している所有権の内容を実現させろ」(=自由にギター甲を使用・収益・処分させろ)と請求することができ、これを実現するためにBに対して「ギター甲をAに返還せよ」と請求することができます。
3-2 債権とは