7 債務不履行を理由とする契約の解除
7-1 制度を理解するための前提
- 契約の拘束力:いったん成立した契約は、一方的に解消できないのが原則です。
- しかし、(Case3)のように一方の当事者が債務を履行しない場合(=債務不履行が生じている場合)には、債権者が契約関係から離脱できるようにするべきだといえます。
- ただし、不履行に陥っているとはいえ債務者の側の利益(契約内容が実現されることによって得る利益)も考慮しなければなりません。
- 以上のことを考えると、両者のバランスを考慮した制度を作らなければなりません。
⭐️両者のバランスを考慮した上で、どのような規定が定められているか7-2で確認してみましょう。
7-2 契約の解除のプロセス
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解除権を有している場合に契約を解除することができます。
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解除権を有している当事者が解除権を行使することによって契約が解除されます。
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解除権の行使方法は、「解除の意思表示をすること」です(民法540条1項)。
(補足)意思表示
一定の法的な効果を欲する当事者の「意思」を外界に表示することを「意思表示」といいます。
7-3 契約の解除の効果
- 民法545条1項本文参照
- 教科書・178p参照(179p以降は現時点では読まなくて良い)。
7-4 債務不履行を理由とする解除の全体像
- 債務不履行を理由として債権者(=不履行になっている債務の債権者)に解除権が発生する場合については民法541条及び民法542条が規定している。
- 原則は、民法541条に定められている「催告解除」である。
- 民法541条の解除については、教科書・174p「債務不履行だけでは契約は解除できません」を参照。
- 例外は、民法542条に定められている「無催告解除」である。
- 民法542条の解除については、教科書・176p「催告をしなくても解除できる場合もあります」、教科書・177p「CHART5-4 催告をしなくても解除できる場合(542条1項)を参照。
8 貸借型の契約
以下では、「貸す」「借りる」タイプの契約について学習して聞きましょう。