10-2-3 錯誤
- 錯誤の国語的な意味は、間違いや勘違いのことです。
- 民法上の錯誤とは、間違いや勘違いによって意思表示を行うことです。
- 民法95条は錯誤を2種類に分けて規定しています。
- 意思表示に対応する意思を欠く錯誤(民法95条1項1号):意思不存在の錯誤
- 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(民法95条1項2号):基礎事情の錯誤
⭐️意思不存在の錯誤の例については、教科書98頁・Case3-6を参照してください。
⭐️基礎事情の錯誤の例については、教科書100頁・Case3-7を参照してください。
- 民法95条1項の効果は「意思表示の取消し」です。
- 基礎事情の錯誤(民法95条1項2号)に基づく取消しは、その事情(=勘違いの対象になっている事情)が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときにのみ意思表示を取り消すことができます(民法95条2項参照)。
- 錯誤が表意者の重大な過失によるものであったときは意思表示を取り消すことができないのが原則です(民法95条3項)。
- (例外1):表意者に錯誤があることを相手方が知っていた場合あるいは重大な過失によって知らなかった場合(民法95条3項1号)。
- (例外2):相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていた場合(民法95条3項2号)。
10-3 意思表示の瑕疵(かし)
⭐️民法96条参照。
⭐️教科書101頁以下「だまされたり脅されてした意思表示」も参照してください。
- だまされたり脅されたりして意思表示を行った場合には、意思表示に対応する効果意思自体はあります。
- しかし、効果意思を形成するまでの過程で騙されたり脅されたりしています。つまり効果意思を形成する過程にキズがあります(キズのことを「瑕疵(かし)」といいます)。
10-3-1 詐欺による意思表示
- 法律行為の相手方の詐欺による意思表示は取り消すことができます(民法96条1項)。
- 第三者が詐欺を行ない、これによって表意者が意思表示をした場合については、相手方がその事実を知り、または知ることができた場合にのみ、その意思表示を取り消すことができます(民法96条2項)。
- 詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができません(民法96条3項)。
10-3-2 強迫による意思表示
- 強迫による意思表示は取り消すことができます(民法96条1項)。